2026年度の最低賃金と飲食店の人件費
改定額・発効日と時給見直しのポイント【2026年版】
この記事の結論
- 2026年度の最低賃金は東京1,280円、神奈川1,279円、埼玉1,196円、千葉1,195円で、4都県とも10月1日に発効しました。
- 発効日は都道府県で10月1日〜12月2日とちがいます。発効日からの労働には、給与の締め日の途中でも新しい額が必要です。
- 時給だけでなく深夜割増や保険料も連動して上がります。人件費は「時給×時間+割増+事業主負担」で計算し直しましょう。
最低賃金は、毎年秋に都道府県ごとに改定されます。2026年度は全国加重平均で56円の引上げとなり、飲食店のパート・アルバイトの時給にも直接かかわります。本記事では、厚生労働省と各労働局が公表した2026年度の改定額と発効日(2026年10月時点)をもとに、千葉・東京・神奈川・埼玉の金額、時給の見直し方、人件費の計算のしかた、使える支援をまとめます。
目次
1. 2026年度の最低賃金はいくらになったか 2. 発効日は都道府県でちがう 3. パート・アルバイトの時給の見直し方 4. 人件費の計算の考え方 5. 使える支援(業務改善助成金など) 6. 猫家FCの場合 7. よくある質問(FAQ)2026年度の最低賃金はいくらになったか
2026年度の地域別最低賃金は、全国加重平均で1,177円(前年度1,121円から56円の引上げ)です。首都圏では、東京都1,280円、神奈川県1,279円、埼玉県1,196円、千葉県1,195円で、4都県とも2026年10月1日に発効しました。金額は厚生労働省「令和8年度地域別最低賃金の全国一覧」と各労働局の発表(2026年10月時点)によります。
| 都県 | 改定前 | 改定後(時間額) | 引上げ額 | 発効日 |
|---|---|---|---|---|
| 千葉県 | 1,140円 | 1,195円 | 55円 | 2026年10月1日 |
| 東京都 | 1,226円 | 1,280円 | 54円 | 2026年10月1日 |
| 神奈川県 | 1,225円 | 1,279円 | 54円 | 2026年10月1日 |
| 埼玉県 | 1,141円 | 1,196円 | 55円 | 2026年10月1日 |
全国では47都道府県すべてで54円〜65円の引上げとなりました。厚生労働省によると、全国加重平均56円の引上げは、1978年度(昭和53年度)に目安制度が始まってから2番目の高さです。最も高いのは東京都の1,280円、最も低いのは宮崎県の1,085円です。
最低賃金はどう決まるのか
地域別最低賃金は、国の中央最低賃金審議会が示す引上げ額の「目安」を参考に、都道府県ごとの地方最低賃金審議会が審議して答申し、異議申出の手続きを経て都道府県労働局長が決定します。2026年度は、7月28日に目安が示され、9月3日までに全都道府県の答申がそろいました。ほぼ毎年改定されるので、開業の計画では「毎年上がる前提」で人件費を見ておくと安全です。
発効日は都道府県でちがう
新しい最低賃金がいつから適用されるかは、都道府県ごとにちがいます。2026年度は10月1日から12月2日までの間に順次発効し、首都圏の4都県や北海道・大阪府・愛知県などは10月1日でしたが、11月や12月に発効する県もあります。適用されるのは、働く人の住所ではなく、お店(事業場)がある都道府県の最低賃金です。
| 都道府県の例 | 改定後 | 発効日 |
|---|---|---|
| 千葉県・東京都・神奈川県・埼玉県 | 1,195円〜1,280円 | 2026年10月1日 |
| 茨城県 | 1,136円 | 2026年10月18日 |
| 山梨県 | 1,113円 | 2026年11月1日 |
| 京都府 | 1,180円 | 2026年11月16日 |
| 岩手県・熊本県 | 1,090円・1,092円 | 2026年12月1日 |
| 沖縄県 | 1,086円 | 2026年12月2日 |
給与の締め日の途中で発効したら
厚生労働省の最低賃金特設サイトでは、賃金の計算期間の途中に発効日がある場合でも、発効日以降は改定後の最低賃金額以上を払う必要があると案内しています。「来月の給与から上げる」では足りません。たとえば20日締めのお店なら、9月21日〜10月20日分の給与のうち、10月1日以降に働いた分は新しい額で計算します。
秋から冬に開業する場合
開業の時期が10月以降なら、開業する時点でその都道府県の新しい最低賃金がすでに発効しているかを確かめ、事業計画の人件費も新しい額で計算しておきます。オープン前の研修期間や試用期間でも、労働局長の許可なく最低賃金を下回ることはできません。
お店に掲示する
使用者は、最低賃金額や、最低賃金の計算に入れない賃金、効力の発生日などを、作業場の見やすい場所に掲示するなどして働く人に知らせる必要があります。休憩室やバックヤードに掲示しておきましょう。
パート・アルバイトの時給の見直し方
地域別最低賃金は、パート・アルバイト・学生・試用期間中の人も含め、雇用形態や呼び方に関係なく、すべての労働者に適用されます。まず全員の時給を一覧にし、新しい最低賃金を下回る人がいないか確かめます。そのうえで、すぐ上の時給の人との差をどうするかも決めておきましょう。
最低賃金と比べる賃金・比べない賃金
比べるのは、毎月支払われる基本的な賃金です。次の賃金は除いて計算します。
- 結婚手当など臨時に支払われる賃金、賞与など1か月をこえる期間ごとに支払われる賃金
- 時間外・休日の割増賃金、深夜(午後10時〜午前5時)の割増賃金のうち通常の賃金をこえる部分
- 精皆勤手当、通勤手当、家族手当
時給制なら時給をそのまま、日給制なら「日給÷1日の所定労働時間」、月給制なら「月給÷1か月の平均所定労働時間」で時間額にして、最低賃金と比べます。社員を月給で雇う場合も、この計算で下回っていないか確かめてください。
下回っていたらどうなるか
最低賃金より低い時給で合意していても、その部分は法律で無効になり、最低賃金と同じ額で定めたものとみなされます。下回っていた分は差額を払う必要があり、地域別最低賃金を払わない場合は最低賃金法で50万円以下の罰金が定められています。試用期間中などに最低賃金より低くするには、労働局長の減額の特例許可が必要です。
雇用契約書と求人の時給もそろえる
時給を上げたら、雇用契約書(労働条件通知書)や就業規則の賃金の記載も新しい額にそろえます。求人サイトやお店の張り紙に古い時給が残っていると、応募した人とのトラブルのもとになります。発効日の前に、時給をどこに書いているかを洗い出しておきましょう。
「追い抜き」にも気を配る
最低賃金ちょうどの人だけを上げると、もともと少し高い時給だった経験者と同じ時給になってしまうことがあります。経験や担当する仕事に応じた差をどう残すかを決めておくと、長く働いてくれる人の不満を防げます。採用と教育の考え方はうなぎ屋のスタッフ採用と教育もご覧ください。
人件費の計算の考え方
人件費は、「時給×働く時間」に、深夜や残業の割増賃金と、事業主が負担する保険料を足して考えます。最低賃金が上がると、時給だけでなく、それに連動する割増賃金や保険料もふえます。月ごとの人件費をスタッフ別に計算し直し、売上に対する人件費の割合も見直しましょう。
深夜の割増賃金
労働基準法では、午後10時から午前5時までの間に働いてもらった時間には、通常の賃金の2割5分(25%)以上の割増賃金を払う必要があります。法定時間外の労働が深夜に及んだ場合は、時間外の25%以上と深夜の25%以上を合わせて50%以上です。夜おそくまで営業する飲食店は、この割増分も最低賃金の改定で上がることを忘れないようにしましょう。
計算の例(千葉県・最低賃金ちょうどのアルバイト1人)
時給を最低賃金ちょうどで払っていたアルバイト1人が、月80時間(うち午後10時以降が20時間)働く場合で計算してみます。
| 項目 | 改定前(1,140円) | 改定後(1,195円) |
|---|---|---|
| 基本の賃金(80時間) | 91,200円 | 95,600円 |
| 深夜の割増分(20時間×25%) | 5,700円 | 5,975円 |
| 合計(1か月) | 96,900円 | 101,575円 |
この例では、1人あたり月4,675円ふえます。同じ条件のスタッフが4人なら月18,700円、12か月で224,400円です。ここに交通費などの手当や、保険に加入している人の事業主負担が加わります。
事業主が負担する保険料
雇用保険に入っている人については、賃金に保険料率をかけた保険料がかかります。2026年度の雇用保険料率は、一般の事業で事業主負担が1,000分の8.5(失業等給付等の1,000分の5と雇用保険二事業の1,000分の3.5)です。社会保険(健康保険・厚生年金)に入っている人がいれば、その事業主負担も賃金に連動してふえます。料率は加入先の最新の資料で確かめてください。
シフトと値段の見直し
人件費の上昇に備えるには、働く時間の使い方を見直します。注文が少ない時間帯の人数を減らす、仕込みの手順をそろえて1人あたりの作業時間を短くする、予約やテイクアウトの受け取り時間を分けて忙しさの山をならす、などです。それでも人件費の割合が上がる場合は、値段の見直しも選択肢になります。仕入れ値の変化とあわせて、メニューごとに利益が残るかを確かめましょう。
売上に対する割合で見る
人件費は金額だけでなく、売上に対する割合(人件費率)でも毎月確かめます。改定後の人件費を入れて、毎月いくら売れば黒字になるかを計算し直しておくと、値段やシフトを見直す時期を判断しやすくなります。考え方はうなぎ屋の数字管理とうなぎ屋の損益分岐点で紹介しています。
使える支援(業務改善助成金など)
賃上げと設備投資をあわせて行う中小企業・小規模事業者には、厚生労働省の業務改善助成金があります。ただし、2026年度(令和8年度)の申請期間は2026年9月1日から、お店のある都道府県の最低賃金の発効日の前日(11月30日より遅い場合は11月30日)までです。10月1日に発効した千葉・東京・神奈川・埼玉では、2026年度分の申請は9月30日で締め切られています。次の募集は、厚生労働省の公式ページで確かめてください。
| 項目 | 2026年度(令和8年度)業務改善助成金の内容 |
|---|---|
| しくみ | 事業場内で最も低い時給(事業場内最低賃金)を50円以上引き上げ、生産性を上げる設備投資などをした場合に、その費用の一部を助成 |
| 助成の上限 | 引上げ額のコース(50円・70円・90円)と人数で決まり、最大600万円 |
| 助成率 | 引上げ前の事業場内最低賃金が1,050円未満は4/5、1,050円以上は3/4 |
| 引き上げの対象 | 雇用保険に入っていて、雇い入れから6か月を過ぎた労働者 |
| 申請期間 | 2026年9月1日〜発効日の前日または11月30日の早いほう |
注意したいのは、交付決定の前に導入した設備は対象にならないこと、労働者がいないと対象にならないこと、予算の範囲で行うため期間内でも募集を終える場合があることです。これから開業するお店は、対象になるのが雇い入れから6か月を過ぎた人なので、使えるのは早くてもその後の募集からです(2026年10月時点の公式資料による)。
相談先と資金の支援
厚生労働省は、都道府県ごとに働き方改革推進支援センターという無料の相談窓口を置き、最低賃金の引上げや助成金の使い方などの相談を受けています。また、業務改善助成金の案内では、日本政策金融公庫が事業場内最低賃金の引上げに取り組む事業者向けに「働き方改革推進支援資金」で設備資金・運転資金の融資を行っていると紹介されています。そのほかの補助金・助成金は飲食店で使える補助金・助成金の一覧でまとめています。
猫家FCの場合
猫家は、千葉県四街道市にある関東風(蒸してから焼く)のうなぎ屋です。店内でのご提供に加えて、テイクアウトとデリバリーサービス(Uber Eats・出前館など)も取り入れているので、席数が少ない小さなお店でも売上を確保しやすくなっています。最低賃金が毎年上がる中では、売上をつくる方法をいくつか持っておくことも、人件費を支える力になります。
猫家FCの加盟金は150万円(保証金込み)で、物件・設備費は別途です。ロイヤリティは売上の4%(最初の3店舗はモデルケースとして3%)です。うなぎ屋に必要なことは研修とマニュアルでお教えするので、料理の経験がなくても始められます。値段はお店ごとに自分で決められるので、人件費の変化に合わせた値段の見直しも、お店で判断できます。加盟を検討するときは、出店する都道府県の最低賃金で人件費を計算してください。
まずは、お気軽にご相談ください
猫家FCは自分のうなぎ屋を繁盛させたい方を募集しています。
加盟条件について、まずはお気軽にご相談ください。