フランチャイズの加盟金と保証金の違い
初期費用の中身と返ってくるお金・会計の扱い【2026年版】
この記事の結論
- 加盟金は商標やノウハウ、開業の支援などの対価として払うお金、保証金は未払いなどに備えて本部に預けるお金で、性質がちがいます。
- 返ってくるかは契約で決まります。加盟金は返さない定めが一般的で、保証金は契約が終わると精算して残りを返す形が一般的です。
- 税務では、返ってこない加盟金は繰延資産として原則5年で償却し、20万円未満なら一度に経費にできます。処理は税理士に確かめます。
フランチャイズの初期費用でよく見る「加盟金」と「保証金」。どちらも本部に払うお金ですが、何のためのお金か、あとで返ってくるか、帳簿でどう扱うかがちがいます。本記事では、加盟金・保証金に加えて、研修費・物件取得費・設備費・運転資金まで初期費用の中身を分けて整理し、返ってくるお金と返ってこないお金の考え方、会計・税務の扱いを、日本フランチャイズチェーン協会(JFA)・中小企業庁・国税庁などの情報をもとに解説します。
目次
1. 加盟金と保証金の違い|何のためのお金か 2. 初期費用の中身|加盟金・保証金のほかにかかるお金 3. 返ってくるお金と返ってこないお金|決めるのは契約 4. 会計・税務の扱い|加盟金は繰延資産、保証金は預けたお金 5. 猫家FCの場合 6. よくある質問(FAQ)加盟金と保証金の違い|何のためのお金か
加盟金は、本部の商標を使う権利やノウハウ、開業までの支援などの対価として払うお金です。保証金は、加盟店が本部に払うべきお金(ロイヤリティなど)が未払いになったときなどに備えて、本部に預けておくお金です。JFAは、一般に加盟金は契約が終わっても返らず、保証金は契約が終わると精算されて残りが返ると説明しています。ただし、実際にどうなるかは契約で決まります。
| 項目 | 加盟金 | 保証金 |
|---|---|---|
| 何のお金か | 商標の使用、ノウハウ、開業の支援などの対価 | 未払いのロイヤリティや損害賠償金などに備えて預けるお金 |
| 払う時期 | 契約のとき(一括が一般的) | 契約のとき |
| 返ってくるか | 返さない定め(不返還特約)が一般的 | 契約が終わると精算して、残りを返すのが一般的 |
| 決めるもの | 契約。法定開示書面にも「返還の有無と条件」が書かれる | |
| 税務の扱い | 返らない加盟金は繰延資産(原則5年で償却) | 返る約束の部分は預けたお金。返らない部分は扱いが変わる |
※JFAの「加盟契約」の解説・用語集、中小企業庁のパンフレット、国税庁の質疑応答事例をもとに整理した一般的な内容です。
加盟金に含まれるもの
JFAの用語集では、加盟金を、本部が加盟者にノウハウを与える対価として払うお金とし、その中身として開業時のノウハウの開示、商標などの使用、店舗の内外装のデザイン・企画、店舗の立地調査、開業準備の支援、開店時の指導員の派遣、開店に必要な備品の調達の企画を挙げています。一方で、開業前の研修費や内外装の設計費を加盟金とは別に受け取る本部もあるとして、契約書の内容を確かめるよう呼びかけています。
保証金に充てられるもの
JFAは、保証金を、契約期間中に加盟店が本部に負う債務(未払いのロイヤリティや損害賠償金など)を担保するために、契約のときに払うお金と説明しています。お店の物件を借りるときの敷金と似た役割のお金です。
名前ではなく「中身」で見る
本部が受け取るお金の名前は、「加盟金」「保証金」「契約金」などさまざまです。JFAは、名前が何であっても、その性質によって税務上の扱いが異なるとしています。また用語集には、加盟金・開店準備の手数料・研修費などをまとめた「加盟預託金」という呼び方も載っています。名前だけで判断せず、そのお金で何をしてもらえるのか、返るのかを一つずつ確かめましょう。
初期費用の中身|加盟金・保証金のほかにかかるお金
フランチャイズの初期費用は、本部に払うお金(加盟金・保証金・研修費など)、お店をつくるお金(物件取得費・内装・設備)、開業後に備えるお金(運転資金)に分かれます。JFAの用語集でも、初期の投資額として、加盟金、研修費、店舗の保証金・敷金・礼金・手数料、内外装工事代、設備費、店舗設計費、什器備品、開業までの前家賃や従業員の給料などが挙げられています。
| 費用 | 払う相手 | 中身 | 返ってくるか |
|---|---|---|---|
| 加盟金 | 本部 | 商標・ノウハウ・開業支援の対価 | 返さない定めが一般的 |
| 保証金 | 本部 | 未払いなどに備えて預けるお金 | 精算して残りを返すのが一般的 |
| 研修費 | 本部 | 開業前の研修。加盟金に含む場合と別の場合がある | 契約で確認 |
| 物件取得費 | 大家さん・不動産会社 | 敷金(保証金)・礼金・仲介手数料・前家賃など | 敷金は明け渡し後に精算して返る。礼金・権利金は返らないお金 |
| 内装・設備費 | 工事・設備の業者 | 内装工事、厨房設備、什器・備品 | -(お店の設備になる) |
| 運転資金 | 自分で用意 | 開業後の家賃・人件費・仕入れ・返済など | - |
参考までに、日本政策金融公庫の「2025年度新規開業実態調査」(2025年8月調査)では、フランチャイズに限らない新規開業の開業費用は平均975万円、中央値600万円でした。業種や物件で大きく変わるので、自分の計画では項目ごとに見積もりをとりましょう。費用の全体像はフランチャイズ開業にかかる全コストでも整理しています。
研修費|加盟金に入っているか
JFAの用語集では、開業前の研修費は加盟金に含むケースも含まないケースもあるので、契約のときに確かめる必要があるとしています。研修のための交通費や宿泊費は、加盟店が負担するのが大半とされています。
物件取得費|敷金と礼金はちがう
お店の物件を借りるときの敷金は、民法で、名目を問わず家賃などの支払いを担保するために預けるお金とされています。賃貸借が終わって物件を明け渡したときに、未払いの家賃などを差し引いた残りが返されます(民法第622条の2、2020年4月施行)。「保証金」という名前でも、この役割なら敷金にあたります。一方、礼金や権利金は返らないお金として払うもので、敷金とは扱いがちがいます。
設備費と運転資金|「返済」と「税金」も計画に入れる
中小企業庁は、本部から事業の収支の説明を受けるときは、店舗を借りるための保証金(敷金)が要るか、減価償却費や什器・機器のリース、税金が入っているかを確かめ、借入れをするなら元金と利息の返済も把握しておくよう呼びかけています。設備の考え方はうなぎ屋の厨房設備と初期投資もご覧ください。
返ってくるお金と返ってこないお金|決めるのは契約
一般的には、加盟金は返らず、保証金は契約が終わると精算されて残りが返る形が多いとされます。しかし、最終的に返るかどうか、いつ、いくら返るかを決めるのは契約です。中小小売商業振興法の対象になる本部は、法定開示書面に、加盟のときに受け取るお金の「返還の有無及びその条件」を書くことになっています(中小企業庁のパンフレット)。書面全体の読み方はフランチャイズの法定開示書面とはをご覧ください。公正取引委員会のガイドラインも、加盟のときに受け取るお金の性質・金額・返還の有無と条件を、開示が望ましい事項に挙げています。
開店できなかったとき・途中でやめたとき
中小企業庁は、店舗の物件が決まる前に契約して加盟金と同じようなお金を払い、開店できなかったのにお金が返らなかったというトラブルを紹介しています。物件が決まらないまま契約する場合は、開店に向けた支援の内容と、開店できなかったときに返るかどうかについて、明確な説明を受けることが大切だとしています。途中でやめたときの扱いは、違約金とあわせて確かめましょう。
契約の前に払うお金にも注意
中小企業庁のパンフレットには、加盟契約の前に申込金を払ったが、返してもらえないという相談例も載っています。また、説明会などで契約書以外の書類に住所や氏名を書いただけでは契約は成立しないので、違約金のようなお金を払う必要はないとしています。何の書類にサインするのか、払うお金が何のためのものかを、その場で確かめましょう。
契約前に確かめたい質問
| 聞くこと | 確かめるポイント |
|---|---|
| 加盟金に何が含まれていますか | 研修費・設計費・開店時の指導などが別料金か |
| 保証金はいくらで、何に充てられますか | 未払いのロイヤリティや仕入れ代金などとの精算のしかた |
| 保証金はいつ、どんな条件で返りますか | 契約が終わってから返るまでの時期、差し引かれるもの |
| 開店できなかったときは、どうなりますか | 物件が決まらなかった場合などに返るお金 |
| 途中でやめたときは、どうなりますか | 違約金と、加盟金・保証金の扱い |
毎月かかるお金(ロイヤリティ)の考え方はフランチャイズのロイヤリティとはで解説しています。
初期費用の中身を確かめたい方へ
猫家FCは加盟金150万円(保証金込み)、ロイヤリティ売上の4%(最初の3店舗は3%)。
物件・設備費は別途です。加盟条件を確かめたうえで、ご検討ください。
会計・税務の扱い|加盟金は繰延資産、保証金は預けたお金
税務では、返ってこない加盟金は、すぐに全額を経費にするのではなく「繰延資産」として原則5年で償却(何年かに分けて経費にすること)します。支出が20万円未満なら、払った年(事業年度)に一度に経費にできます。返ってくる約束の保証金は、本部に預けているお金です。どれも名前ではなく中身で扱いが決まるので、実際の処理は契約書を見せて税理士に確かめましょう。
加盟金は繰延資産として5年で償却
国税庁の質疑応答事例(法人税)では、ホテルのフランチャイズに加盟するときに払う返還されない加盟一時金は繰延資産にあたり、償却期間は5年とされています。契約期間が20年でも、ノウハウの設定契約の一時金などと同じく5年とするのが相当、という考え方です(令和7年8月1日現在の法令等にもとづく事例)。個人事業の所得税でも、通達でノウハウの頭金などの償却期間は5年と定められています(所得税基本通達50-3)。
繰延資産になる費用でも、支出した金額が20万円未満なら、その年(事業年度)の経費にできます(法人税法施行令第134条、所得税法施行令第139条の2)。20万円未満かどうかは、契約ごとに払う金額で判断します。
保証金は「預けたお金」、返らない部分は別の扱い
返ってくる約束の保証金は、本部に預けているお金です。一方で、契約によって返らないことになっている部分や、あとで返らないことが決まった部分は、扱いが変わります。JFAも、本部が受け取るお金は名前ではなく性質で税務上の扱いが異なるとしています。加盟金と保証金がまとめて請求される場合は、内訳と、それぞれが返るかどうかを書面で確かめておくと、帳簿をつけるときにも困りません。
物件の敷金・礼金・仲介手数料
国税庁によれば、法人が建物を借りるために払った権利金などは繰延資産となり、通常の権利金の償却期間は5年です。一方、建物を借りるときに不動産会社に払う仲介手数料は、払った事業年度の経費(損金)にできます。消費税では、事業用の建物の保証金・権利金・敷金などのうち、返らないものは権利の設定の対価として課税の対象になり、契約の終わりに返ってくるものは課税の対象になりません。
開業前の費用(開業費)
個人事業で、開業の準備のために特別に使った費用(開業費)は繰延資産となり、60か月で均等に償却するか、好きな時期に償却する(任意償却)かを選べます(国税庁の質疑応答事例)。どの費用が開業費にあたるか、法人の場合はどうなるかは内容によるので、税理士に相談しましょう。税金と確定申告の全体はフランチャイズオーナーの税金・確定申告ガイドでも紹介しています。
猫家FCの場合
猫家は、千葉県四街道市にある関東風(蒸してから焼く)のうなぎ屋です。猫家FCの加盟金は150万円(保証金込み)で、物件・設備費は別途です。ロイヤリティは売上の4%(最初の3店舗はモデルケースとして3%)です。うなぎ屋に必要なことは研修とマニュアルでお教えし、うなぎの仕入れは本部が担います。候補地は、物件の条件を見ながらいっしょに考えます。
加盟金に含まれる保証金の扱い(内訳や返還の有無など)は、面談で確認してください。フォームからご相談いただけます。うなぎ屋の開業費用の考え方はうなぎ屋フランチャイズの開業費用でも紹介しています。
まずは、お気軽にご相談ください
猫家FCは自分のうなぎ屋を繁盛させたい方を募集しています。
加盟条件について、まずはお気軽にご相談ください。